【Q-CAP Ver.2】について。
ライカQシリーズのメタルキャップは、ライカ純正、社外品を問わず、キャップの内側にベロア素材が貼り付けてありますが、使用によってベロア素材が圧縮され、または固定してある両面テープがずれて、当初の強固な固定力が無くなってきます。もちろん使用頻度によりますが、3ヶ月から半年程度でキャップが緩くなり、簡単に脱落するようになってしまいます。
解消方法としては、市販の4mmベロアテープに貼り替えるという方法がありますが、それも一時的な解消方法であり、半年ごとに張り替えが必要になるかと思います。
また、メタルキャップは結構な厚みがあり、外した後にポケットに入れても嵩張りますし、滑りやすく毎回の脱着にも気を使います。
このQ-CAP(キューキャップ)は、実際にQ2のオーナーであるオランダ、アムステルダム在住のMichael Jones氏が、その不便さをなんとか解消出来ないかと考え、試行錯誤の上に2020年に完成した製品です。
初期の製品は、純正同様にベロア素材で固定する薄型のキャップを製作しました。しかしながら、ベロア素材の特性ゆえに、やはり使用による劣化で外れやすくなり、張り替えが必要になりました。
固定方法に一般的なバヨネットタイプを採用すると厚みが増し、フィルターの装着が困難になってしまいます。そこで、3Dプリントによる薄型の特殊なスプリングを開発し、薄いままにスプリングで簡単に脱着できるバージョン2を開発し、2022年に発売。同時に、Mレンズ用のスクエアフード向けも発売いたしました。
高度なCNC加工により、純正レンズフードの面取りと角度を合わせ、取り付けた状態で違和感の生じない形状を実現しましたが、最も難しかった加工は表面処理でした。ライカ独特の梨地仕上げ、独特のブラック仕上げは、腐食に強いアノダイズド加工を何度も繰り返し、純正の素材に近い状態まで仕上げております。
ご購入いただいた時点での新品は、脱着が少し硬いように感じられますが、数回の使用でロック機構の爪が馴染んできます。フード自体を絶対に傷つけたくない方は、爪が当たる部分にプロテクションテープを貼っていただくのも良いかと思いますが、数ヶ月使用した経験上、そこまでする必要は無いかと思います。
ライカQ3については、同じ品番の純正フードであり、すでに入手されたオーナー様から問題なく装着できるとの報告を受けております。ライカジャパン様では純正品しか販売しないとのことで、Q-CAPの取り扱いは叶いませんでしたが、ミュンヘン、ベルリン他、北米のライカストアではライカショップで販売されています。
販売価格については、現地価格同等の設定をしておりますが、昨今の円安ゆえに日本円の価値が毀損され、海外製品はどうしても高価になってしまいます。誠に申し訳ございませんが、為替動向には左右されてしまいますので、ご容赦くださいませ。
私もライカQ3発表前に予約いたしましたが、供給が追いつかないようで、まだ順番待ちの状態です。Q3が届いた暁には、Q-CAPでストレスのない撮影を楽しみたいと思います。
エニーズ・インターナショナル 増尾賢一